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吉松 剛 /指導者研修会に参加して

山口県 新川少年剣友会

平成22年11月24日 六段合格

 

11月21日(日)〜23日(火)にかけて全日本剣道道場連盟が主催する「第54回剣道指導者研修会」に参加させていただきました。
今回、研修会に参加した目的は指導法の研修と研修会翌日に日本武道館で実施される六段審査会に向けた最終調整のためでした。
豊田駅を降り研修会場である「全日本少年剣道錬成会館」に到着して参加者名簿を見ると、今回の研修会には北海道から沖縄まで全国の指導者の先生方43名が参加されていました。
14時30分からの開講式の後、すぐに全講師による「実技指導」が始まり最初に受講者全員による立会が行われました。立会は実際の昇段審査の要領で行い、立会後は講師の先生方から個別に講評していただけるというもので昇段審査を受けるものにとっては大変有り難い研修です。
私は一組目でしたので急いで面をつけ立会に望みましたが緊張のためか思ったような立会ができず、講師の先生からの講評は散々な内容でした。自分の立会の後は他の先生方の立会を拝見させていただき、他の先生方への講評も聞くことができ、昇段審査を受ける私には大変参考になりました。
全員の立会の後は講師の先生方との地稽古です。私は張り切って講師の先生に掛かっていきましたがそこでアクシデントが起きました。極度の緊張と張り切りすぎたためか稽古中に左足のふくらはぎを痛めてしまいました。お相手の先生にお詫びして途中で稽古を中断しましたが痛みのため思うように歩くこともできず三日後の受審は無理かもしれないと思い大変落ち込みました。しかし、せっかく東京まで来たのだから受審は無理でもできるだけ研修を受けて今後の指導に役立てようと思い直し、二日目の研修では私の地元山口県の剣道連盟会長である古田筆頭講師の「剣道講話」を拝聴し、左足の痛みに耐えながら中山講師の指導による「日本剣道形」、古田筆頭講師の指導による「木刀による剣道基本技稽古法」をなんとか受講することができました。
古田筆頭講師の「剣道講話」では「鍛錬度=面数」であり、同じ相手と何回稽古しても面数は「1」であるというお話が大変印象に残りました。また、審査を受ける際は「絶対合格するという『覚悟』が必要である」ということや「稽古日誌」の重要性について等、大変ためになるお話ばかりでした。
中山講師による「日本剣道形」の指導では、実際に一本ずつ豊村講師と模範を示されながら懇切丁寧に御指導いただき、今まで私が正しいと思って指導していたことが実は正しくなかったというところがいくつかあり大変参考になりました。
古田筆頭講師による「木刀による剣道基本技稽古法」の指導でも一本ずつ豊村講師と模範を示されながら懇切丁寧に御指導いただき大変参考になりました。また、古田筆頭講師は「木刀による剣道基本技稽古法」制定に際し、専門委員長として中心的な役割を担われたということもあり、制定までの経緯等についてもお話いただきました。
ただ、その後の伊藤講師による「実技指導」には参加せず治療に行くことにしました。後で同室の先生に伊藤講師の指導内容について尋ねたところ、「構え」「足捌き」「素振り」「切り返し」「打ち込み」と基本について懇切丁寧な指導があったと聞き、足の治療のために受講できなかったことが本当に残念でなりませんでした。
診断の結果、幸い肉離れはしていないということでしたので「二日後の審査が受けられるようにしてください。」と無謀なお願いをして治療していただきました。しかし審査を受けられるかどうかは当日の状態次第ということでした。
二日目の夜は講師の先生方も参加される懇親会です。会場には受講者が持参した全国各地の銘酒が並べられ、古田筆頭講師の乾杯の発声で酒宴が始まりました。
この研修会のいいところは、研修会に参加しなければお会いすることのない高名な講師の先生方や全国各地の先生方と剣を交えることができ、地元では飲むことのできない全国各地の銘酒を酌み交わしながら剣道談義に花を咲かせることができるということです。この時ばかりは足の痛みを忘れて本当に楽しく有意義な時間を過ごすことができました。
研修会最終日は朝6時30分からの自由稽古です。早朝にもかかわらず前夜のお酒はどこにいったのかと思うほど多くの皆さんが熱心に講師の先生方に掛かっておられました。私は参加したいという気持ちをぐっとこらえて見取り稽古させていただきました。
朝食後、 最後の「実技指導」になり最初に初日同様に審査を想定した立会が行われました。私は翌日の審査を受けるつもりでしたのでサポーターとテーピングでふくらはぎを固定し立会に望みました。立会では初日のような緊張もせず、初日の立会で御指摘いただいたことに気をつけて立会をしたためか初日よりはずいぶん良くなっているという講評をいただきました。ただ、立会の後に行われた最後の地稽古には参加せず、見取り稽古させていただき研修会の全日程を終え錬成会館を後にしました。
宿泊先のホテルでは、ほとんど外出せずにアイシングとマッサージを繰り返していました。そのお陰か審査会当日は足の痛みはほとんどなく、サポーターとテーピングでふくらはぎを固定して審査に望み、無事「合格」させていただきました。
今回合格できたのは、研修会での立会で御指摘いただいた「位(くらい)」と「打ち切ること」を意識し、絶対に合格するという「覚悟」を持って審査に望んだこと、それと怪我をしていたということで良い意味で開き直ることができ、落ち着いて立会うことができたことがよかったのだと思います。
これも今回の研修会で御指導いただいた講師の先生方、いろいろなアドバイスをいただきました受講者の先生方、研修会のお世話をしていただいた道場連盟事務局の先生方のお陰と本当に感謝しております。
また、怪我をしたことで講師の先生方、道場連盟事務局の先生方、受講者の先生方にご迷惑とご心配をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます。
これからは、研修会で御指導いただきました「正しい剣道」を子供達に指導していくとともに、私自身も「生涯剣道」を目指し、より高い目標に向かって稽古していきたいと思います。