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安岡 孝 /指導者研修会に参加して

高知県 致道館少年剣道教室

平成22年11月26日 八段合格

 

私は平成八年五月(四十八才)から八段審査を受審して参りました。未熟者ですが光栄にも平成二十二年十一月(六十三才)の審査によりまして、八段位を授かることができました。これも偏にこれまで御指導頂きました先生方の御薫陶と、共に励んで参りました同僚剣士の皆様の御指導、御鞭撻の賜と深く感謝する次第でございます。しかしながら八段位の重責を思うにつけ、今更ながら自分の力不足を思い知らされる毎日です。私は地元高知県を離れて生活をしたことがなく、地元の大学を卒業した後、高知県庁に奉職し、職務のかたわら剣道修業を続けて参りました。高知には西野悟郎範士が居られ、折に触れて、一人稽古の大切さ、出稽古の大切さを説かれております。一人稽古は西野先生考案の打ち込み台を木刀で実際に打つ方法で自宅に設け日常向かい合っておりました。そして、井の中の蛙の私にとりまして、全日本剣道道場連盟が主催して開催される剣道指導者研修会は又とない武者修行の場でございました。超一流の講師の先生方の熱意溢れる御指導を夢のような思いでお受けし、自分の未熟さを叩き直す絶好の修業の場所を与えて頂きました。そして全国から研修生として集う先生方との交剣知愛の合宿生活は、この上ない宝物として心に刻んでおります。私は平成十八年三月の研修会から平成二十年十一月研修会まで、年2回の研修会に継続して6回参加させて頂きました。講師の先生は毎回煌星のような先生方ばかりでした。御指導をお受けした年次順に御紹介致しますと、井上義彦範士、永松 陟範士、青木彦人範士、佐藤博信範士、小笠原宗作範士、古田 坦範士、伊藤陽文範士、塚本徹男範士、甲斐清治範士、千葉 仁範士、中田e士範士、加茂 功教士八段、と枚挙に遑がありません。この様に、普通であれば言葉を交わすことすら憚られるような素晴らしい講師陣により、文字通り手取り足取りの三日間の研修会は私にとりましては表現不可能な程濃密な内容でした。北は北海道、南は沖縄まで全国の道場の錚々たる指導者の先生方、総勢50名近くが一堂に集っての研修会は、正に血沸き肉躍るといった形容がぴったりのものでした。その内容の一端を振り返ってみますと、研修会場となっています全日本少年剣道錬成会館に到着するや、審査形式の立合があり、直後に講師の先生の、忌憚の無い、歯に衣着せぬ、しかし十分暖かい愛情の感じられる講評が、一人一人の研修生に頂くことができ、研修生はその一言半句も聞き漏らすことの無いよう、講師の先生に噛み付かんばかりの形相で聞いているその状況は、正に真剣勝負さなからです。そして指導法・日本剣道形・木刀による基本技稽古法と、本当に献身的で情熱溢れる御指導により、みっちりと3日間に渡って教授して頂きました。そして、稽古で汗を流したあとは、研修生と講師の先生との和気藹々とした団欒で、又とない剣理の研鑚を積む場であり楽しみの一つです。特に2日目の警視庁若手八段の先生が3人加わって元立ちになって頂き稽古をつけて頂いた後の懇親会は、先生方の胸襟を開いた雰囲気と、研修生のリラックスした達成感が相俟って、それぞれのお国自慢や地酒の応酬が続く正に交剣知愛の宴の席となって参ります。印象深く記憶にありますのは、井上義彦範士の「よっぴいて、ひょうと放たぬ案山子かな。すずめがチュンチュンと矢の先にとまるようなことではいけない。」と攻めと打つ機会に当っての身を捨てて打つ気迫の大切さ、又、身を捨てることと命を粗末にすることの違いについて、「機会を捉えて打つ、その時に身を捨てるのである。」という風にユーモアを交えた具体的な教えを頂きました。少年指導に当っては、勝つ喜びを与えること、例えば勝負の結果が思わしくない子供には、「座り方一番、気合一番、やさしさ一番」という風に評価してやり、好きなことをつくらせてゆくことが大切であると、子供達が剣道を継続してゆくための秘訣をお習いしました。講師の先生方の一貫した教えは、「真剣勝負の心構えで修業すること、先をとり、機会を捉えた時は捨て身で打っていること、そして心の持ちようの大切さ」を説かれているものと強く感じた次第です。講師の先生の本当に献身的で愛情溢れる御指導と情熱は、地元に帰っての少年指導の上における自信ともなり、全国のどこへ修業に行っても通用する剣道の見識と稽古力が確実に身に着く、そういった研修内容を身をもって体験することができた、都合6回の研修でございました。お許しがあれば、これからも何度でも参加させて頂きたいものでございます。紙面には書き尽くせません。最後に毎回御指導に当って頂きました本部講師の太田忠徳先生、豊村東盛先生、そして事務局の宮澤美一先生、安井健二先生、都田一吉先生に深甚の感謝の意を表する次第であります。