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平成20年度 第30回小学生の部 最優秀賞
中国地区代表
島根県
持田少年剣道倶楽部 |
「自分に勝つ」1年生の時「先生はかっこいいことを言うなあ。」と思い、ずっと自分に問い続けて
きた言葉です。
ところが、ぼくの「自分に勝つ」は、うわべだけ、かっこうだけで、本当にどういうことなのかわかっていませんでした。
1年生から剣道をしていたぼくは、早く入部したので、それなりに勝つこともできました。ところ
が高学年になると”それなり”で通用するはずがありません。後から入部してきた友達は、どんどん
強くなっていつの間にかぼくをこえていました。これがトンネルの入口です。
5年生の1年間は、ぼくにとってみじめでつらい1年間でした。どうしてもどうしても勝てない。
大会に出ても初戦負け。あせる。どんどん落ちこむ。そのうち「どうせ運動は、得意じゃないしな。」
とか「本当は、剣道はむいてないかもしれん。」と気持ちまで逃げて行くようにもなりました。
5年生最後の県外での大きな大会にむけ、秋になると選手の発表がありました。ぼくの名前は、そこにありませんでした。「やっぱり…。」と思っても、それでもショックで帰りの車の中で泣いてしまいました。
そんなぼくに母は「のびてる。のびてる。」と調子よく言うので「なにがだや。」とついすねてしま
いました。でもこういう時こそ人間の根っこをのばす。根っことは、つらい事があってもたえる。乗
りこえる。根性だ。と話してくれて、ぼくはずっと弱い心になっていたことに気が付きました。その
日からスランプと言い続けてきたことをやめ、これが今の実力だとみとめました。
そして、もう一度強い気持ちになってクラブの練習もし、家での練習ももっとがんばろうと決めま
した。
がんばるには、今の練習では進歩がありません。二倍やってやっと人といっしよ。今の自分をこえるには、三倍の努力をするしかない。そして続ける。父にこの事を話し、朝練をお願いしました。早朝1時間、素ぶりや打ちこみなど寒くても雨でも雪でもやり続けました。くつはボロボロになって底に穴があきました。冬の朝は、まだ真夜中みたいで星がとてもきれいだったことは、忘れられません。
父が仕事でいない時は、母や家族みんなが支えてはげましてくれました。
そんな時期に一番うれしかったことは、先生が「直哉はどうしてますか。」と家に来て下さったことです。ちょうど出かけていたぼくは、それを聞くとうれしくてうれしくて「10分でも20分でもいいの
で教えて下さい。」と竹刀を持って家まで追いかけて行きました。ますます元気が出てきました。
今年の3月、ぼくは県の個人戦で優勝することができました。“努力は必ずむくわれる”とこの時感じました。一生懸命教えて下さった先生方、仲間、両親、みんなのおかげです。
また県の団体戦では、優勝旗を持ち帰ることができました。この大会の1ヶ月前先生は、優勝できる選手の過ごし方を話されました。
1.きびきびとした行動。
1.大きな声で、返事とあいさつ。
1.よく気が付く。
3番目は特に難しく、ぼくに必要なことばかりです。これを紙に書き、部屋にはり、忘れないよう
にしました。今でもこれを大切にしています。
ぼくが剣道に教えてもらったことは、努力の大切さです。ある本に“努力できることが才能”とあ
りました。これだと思いました。あの人に勝つ、この人に勝つではなく、まず弱い心の“自分に勝つ
ということがわかった気がします。長い長いトンネルだったけど、またこれからもあるかもしれない
けど、勝っても負けても“努力できることが才能”と自分にいいきかせ、感謝の気持ちを忘れずにがんばります。
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