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五十嵐 蕗 /剣道を学び感動と感謝

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平成18年度 第29回小学生の部 優良賞

東北地区代表
新潟 上林館道場

 思えば寒い吹雪の夜でした。私は弟と一緒に道場に入門して剣道を学び4年が過ぎました。剣道は思ったより厳しくきつい稽古の毎日で汗と涙と苦しさの連続です。先輩には叱られ通しで涙を流しながら頑張り通しました。道場には同級生や先輩がいて皆んなすごい剣士です。私はその人達を追い越そうと必死に稽古に励みました。しかしそう簡単には追いつけず一年間は補欠で悔しい気持ちで一杯でした。補欠の間は応援しながらも「いつかは、きっと私が選手になるぞ、負けるものか」と他の選手の動きや技そして剣さばきを見て私なりに研究し「その内必ず」と言い聞かせ頑張って来ました。館長先生に剣道は試合に勝つためではない。もっと大きく大切なことがある。剣道を学ぶ者は人間の心を学べ。礼儀や根性が必要であり、そして友情の大切さを学べ。それを一つでも多く身に付けた人は、剣道も立派で一人前の剣士になれる。勝つ前に心を学べ。」いつか知る時が必ずあると言われ、つらい時、悲しい時、道場で友と一緒に励まし合って、汗と涙を共に流し大会に向けて頑張るぞと新たな闘志を燃やします。私は今年3月に道場のキャプテンに選ばれ小さい後輩から、すべての事の責任を感じ懸命に頑張っています。道場では日本武道館における全国大会を目指し猛練習を続け県内予選を突破しました。8月8日。私達が夢にまで描き続けた日本武道館です。勝っても、負けてもヤルしかない、全力で闘うと心の中は燃えていました。当日、試合前に武道館の中央で全国選抜10人の選手が前総理大臣橋本龍太郎先生と前法務大臣臼井先生との模範稽古です。私はその一人に選ばれました。新潟県上林館道場五十嵐蕗とマイクで呼ばれた時、一瞬ドッと私に緊張が走り胸がシーンとしました。私は精一杯の気合いを出して臼井先生にぶつかっていきました。稽古が終わって先生と握手をさせて頂いた時、一生に一度しかない喜びと感動で胸がいっぱいになりました。先生の手はかたく大きな手で今でもその日の感動が忘れられません。模範稽古を終えいよいよ私達の試合です。「やるしかない」先輩の言葉を胸に全力で戦いました。しかし無念一回戦で敗退です。何のために今日まで頑張って来たのか悔しい涙は止まりません。この日を目標に雨の日も吹雪の日も暑い夏の日も、そして7月13日市が二分する大水害、予期せぬ新潟中越地震の時も努力をし稽古を頑張って来たのに私の涙は声を出して泣きたいようでした。そんな姿を見た先生が「泣くな、涙は人に見せるな。悔しかったら一からやり直せ。」厳しい言葉が帰って来ました。日本武道館の感動、負けた悔しさを忘れず残された小学校時代を一つ一つ頑張って行きます。私が剣道に打ちこめる理由の一つには両親の暖かい声援があります。父は道場の後援会の会長を務め選手の送迎から色々な世話役です。私は今、姉弟3人で剣道を学んでいます。父は私達をー人前の剣士に育てようと懸命です。時には厳しく時には優しく、でも負けることは大嫌いです。そんな父が8月24日会社の工場で大怪我をし入院してしまいました。しかし父は痛みを顔に出さず、いつものように私達を励まし道場へ送り出してくれました。父は勝つと、とても喜んでくれます。その気持ちに答えるには大きな大会で勝つことです。8月28日群馬県沼田市で開催される花心杯剣道大会です。優勝をプレゼントしようと全力で戦いました。そしてみごと優勝することができたのです。左手にホウタイをして応援してくれた父に感謝をしながら頂いた優勝花心杯に熱い涙が胸一杯にこみあげて来ました。剣道を通して学んだ友情、何事にも立ち向かっていく強い心、厳しさや苦しさを乗り越えて頑張り抜く勇気、剣道を心から楽しむ事が出来るように両親への感謝を忘れません。私はキャプテンとして自信と誇りを持って小学生の最後を栄光でかざりたいと思います。