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菊地 済 /What is the Kendo?

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平成18年度 第29回中学生の部 優良賞

関東地区代表
栃木 鹿沼市剣友会

 「What is the Kendou ? 」今年の10月、オーストラリアにホームステイをしていた時に、現地の学 生に質問された言葉です。「剣道って何?」この質問に僕は、即答できませんでした。
  僕には、剣道の魅力を世界中の人々に伝えたい、そして剣道を通して国際交流を図りたいという夢があります。今回オーストラリアへの短期留学が決まったときにも、自分の夢を叶える第一歩として、 現地でぜひ試合披露をしようと思い、防具を予め輸送しておきました。ところが、オーストラリアの空港で防具は「危険物」と間違えられ、10日を過ぎても届かず、期待していた防具をつけての試合披 露もできませんでした。現地で防具の到着を待っている間、僕は世界には剣道を全く知らない人が大勢いるのだということを痛感し、より多くの人々に剣道を知ってもらいたいという願いを日に日に強 くしていました。そんな僕の口から「What is the Kendou ?」の答えが即座に出てこないことに、僕自身大変なショックを受けました。剣道の試合形式やその歴史を伝えることは、そう難しくありません。しかし、ただそれだけでは「剣道の本質を伝えることにはなりません。」剣道の本質を伝えるため に必要不可欠な、その精神世界を伝えようとしたとき、うまく考えをまとめることができなくなって いました。このことが、剣道の精神世界についてもう一度考え直すきっかけとなりました。
  オーストラリアから帰国して2週間後、栃木県南体育館で行なわれた国際試合に参加しました。世界6ヵ国から12チームが参加をし、熱戦をくりひろげました。どのチームも剣道の精神に則り、清々しい試合をしており、その光景を見た僕は、とてもうれしくなりました。そこで、台湾チームの監督からお話を伺う機会を得ました。台湾では幼稚園児から剣道を教えているのですが、まず初めに礼儀を教えるのだそうです。剣道を行う環境は、もちろん日本ほど恵まれていません。立派な道場もなく、 靴を履いての稽古を余儀なくされているそうです。それでも幼いうちから剣道の精神を教えていることに僕は鳥肌が立つほどの感動を覚えました。
 剣道のよさ、それは正しい礼儀作法をみにつけられること、そして技術を習いながら心をも鍛えられること、つまり剣の道を通して人間形成を目的にしていることだと思います。まさに、精神を鍛えることに他ならないといえます。「礼に始まり礼に終わる」という言葉の根本には、相手を尊重するという意味が込められていると思うからです。相手に感謝し、その気持ちを動作で伝えていく、これは実際大変難しいことです。しかし、心からそれを伝えようとすれば、逆に言葉を介さない分、より深い理解ができると思います。試合の時は初対面の人と向かい合うことになりますが、礼儀を心得ている相手と対戦をしたときは勝敗に関わらず、心と心が通じ合ったという一体感と自分を磨くことが出来たという清々しい達成感を得ることができます。その心と心のつながりは、奢りや焦りといった感情を稽古の中で消化していなければ持てないと考えます。剣道とはまさに礼儀を重んじ、心を磨いていくものなのだということを再認識しました。そして、剣道を通して得られる一体感、相手を尊重し、心から自分の気持ちを伝えようと思い、さらにそれを態度で示すことこそが、現代の国際化社会において必要とされることだと確信しました。それと同時に、僕自身もどんな状況下にあっても、剣道の本質をしっかり見つめ、夢に向かって努力をしていきたいと強く思いました。
 オーストラリアの学生の率直な疑問が、逆に剣道を見つめなおし、その良さを僕にもう一度考えさせるきっかけとなりました。
 今、もう一度「What is the Kendo?」と聞かれたら、今度は自信を持って「Kendo need to use "SPIRIT" 剣道は心でするスポーツです。」と答えたいです。