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平成18年度 第29回中学生の部 優秀賞
中部地区代表
岐阜 大勇道場
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私の通っている道場では、月に1回道場内の試合があります。これだけでは別に変わったところはありませんが、今年ちょっと変わった試合をしました。どんな試合だと思いますか?実は着装の試合だったのです。
この試合は、正座をして竹刀を左側、面は右ななめ前小手の上に置き、相手と向い合ったら試合開始です。学年の区別もなければ、試合に出場した経験の有無もない、防具をつけている人すべてが対等の試合です。審判の開始の合図とともに、垂れ・胴・手ぬぐい・面と次々に身に付けていきます。
最終点検をしたら竹刀を持ち、開始線に立って「出来ました。」と両者が言ったところで試合終了です。
3人の審判が両者を点検し判断しますが、判定基準はいかに早く正しく美しい着装が出来たかで決めます。いつもは何気なくしている所作も課題を持ってすると、普段どおりにはいかないようでしたが、勝者は試合を重ねるうちにタイムも縮まり、面の付け方も上手くなっていきました。このような着装の試合をすることで、普段の試合では学べないことを見つけなければなりません。
私は小学2年生の時、剣道を始めました。胴着に袴姿で稽古をする日が続き、ようやく防具を付けてもいいとお許しをいただいた時、先生から「自分で防具を付けることが出来ないならやらなくていい。」と言われました。2年生の私にとって、頭の後ろや背中ちょうちょ結びをすることはとても難
しく、何度やってもきつく結べません。もう練習なんかやめよう!と思いました。でも今ここでやめ
てしまったら私の負け。みんなが稽古している中に入りたいならやめちゃダメだと思って練習を続けました。そのかいあって自分で防具を付けることができて、仲間と同じように稽古が出来た時は、喜びと同時にやれば出来るという達成感も味わうことができました。
そんな状況が今の小学生と重なって見えます。着装の試合をする小学生の姿を見ていたら、美しい着装にするためにムダな動きが減り、ひとつひとつの動作が丁寧になっていくのを見て私は、自分が常に正しく美しい着装をするように心がければ、心も同じように美しいものになるのではないかと思
うようになりました。そして今回行なった着装の試合は技の勝負ではなく、心の勝負を知る試合だった気がします。
「自分で防具を付けることが出来ないならやらなくていい。」
これが私の剣道の始まりです。先生のこの言葉は私が毎日生活する中ではとても厳しい言葉です。
学校の先生も、両親も、周りの大人の人達からもこんな厳しい言葉を聞いたことはありません。でも
私は暖かい言葉であると思っています。剣道修練の心構えの中に、礼節を尊び、信義を重んじ…とあるように、試合をする時には、正しい着装で相手と向き合うことが大切だと分かりました。私は剣道を通して一人の人間として生きる姿を学んでいるのです。自分がやろうと思ったことを途中でくじけ
て投げ出さなければ、どんな事も、どんな時でも、どんな場所でも必ず達成することができる。そして又、次の目標を探して繰り返し努力をする強さを持っていることを知りました。私はこれからも剣
道を通し自分を磨き、学び、いずれは一人で背筋を伸ばして生きていける人間になりたいです。
これからも私は、自分の体を鍛えるとともに相手を思いやり、心の着装に心掛けながら、先生に教えていただいたことを常に意識して、基本を大切にした剣道をするように努力していきます。
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