第58回剣道指導者研修会
a実施期間 平成24年11月23日(金)~11月25(日)
b実施場所 全日本少年剣道錬成会館
c実施内容
指導力・技術の向上を目的とした、剣道指導者研修会を全日本少年剣道錬成会館で開催した。
11月23日、予定通り14時30分開講式が始まった。まず、太田忠徳専務理事が今回も優秀な講師を迎えているので成果を十分上げてもらいたい。また、審査を直前に控えているので、体調に留意し万全の態勢で臨んでもらいたいとと挨拶で述べた。
開講式終了後、早速準備体操で体をほぐし、審査を想定した立合いを二会場で実施した。これは、研修生の今もっている技量を計ることと、今後の指導上の参考とするために研修会の最初に行っている。立合いを何回か経験している参加者は自分の持っている力量を発揮するようになったが、最初の急な立合いはいつもの事ながら、かなり硬さが見受けられ、講師から厳しい指摘が多くあった。この立合いは審査を想定したリハーサルであるが、審査員として経験豊かな講師の的確なアドバイスは貴重な指針となっている。立会い終了後、研修生同士の回り稽古を行い、最後に講師全員と錬成会館の会員でもある小山則夫先生(教士八段)の元立ちで指導稽古を一時間行って初日を終了した。
二日目は、9時より剣道講話を古田坦講師担当で開始した。内容は先ず審査に臨む姿勢、心構えと、審査の着眼点について。次に資料を元に正しい稽古の仕方、また正しく剣道を継承していくことなどについて、自らの経験を踏まえて話された。
引き続き研修は中田琇士講師が日本剣道形を担当。まず、剣道形を行う上での留意点を説明し、下帯の結び方、刀の差し方、抜き方の説明の後、実技指導が行われた。講師が長年修練し体得した形の理合、大事なところを分解説明し模範を示しながら、懇切丁寧に指導し短時間ながら大いに成果を上げた。
午後の部は、豊村講師が「木刀による剣道基本技稽古法」を担当した。先ずこの稽古法の制定された目的を説明。加えて某高校の剣道部の初心者がこの稽古法をもとにした指導によって著しい上達があった実例を紹介し実技指導に入った。制定されてから10年目に入り殆どの研修生がこの稽古法を経験しており今回は間違えの多い所作等、より踏み込んだ内容の講習が行われた。1時間ほどの講習時間ではあったが大いに成果を上げた。この稽古法の趣旨は近年、剣道が競技的な傾向が強すぎるとして、剣道の原点である刀法を意識させ剣道の質を高める為に制定されたものである。剣道に触れる最初の段階の子供達の指導にあたる道場の集まりである全道連はこの趣旨にのっとり今後もこの木刀による剣道基本技稽古法を全国的に普及指導する考えである。
引き続き、梯正治講師が指導法を担当。剣道に取り組む姿勢、心構え等を話し、すり足による面打ち、小手打ち、胴打ち、小手面打ち、突きを徹底的に反復修練。特に発声、呼吸法について、これまで講師が日ごろ研究された技を示範しながらの指導であった。最後に講師と特別講師元立ちで指導稽古を1時間ほど行い、二日目を終了した。
最終日は午前6時半より早朝稽古となっていたが、すでに開始時間前に稽古が始まり、この研修に懸ける意気込みが伝わってくる。一時間を越す内容で心地よい汗を流した。
午前9時より初日同様、審査を想定した立合いを実施した。この二日間講師にアドバイスを受け修練した成果を試す時である。研修生は最後の立合いとあって一段と気迫溢れ、前回よりも格段に内容がよく、自分の長所を発揮しているようであった。1組終わるごとに講師から初日同様、懇切なアドバイスを受けて2時間程の立ち合い会いを修了し休憩後、研修生同士の回り稽古を約一時間行い、すべてを終了した。古田講師は講評で熱心に研修頂き講師陣も満足している。この後に控えている審査会での全員の合格を祈念していると締めくくった。
三日間の短い研修会であったが、熱意溢れる講師陣の指導のもと、今回も大きな成果を上げ無事に終了した。
尚、次回 第59回剣道指導者研修会は平成25年3月1日(金)から3月3日(日)まで、同、全日本少年剣道錬成会館において実施の予定である。
d参加人数 51名
講師:古田 坦(範士八段) 梯 正治(範士八段) 中田琇士(範士八段)
特別講師:出水盛文(教士八段) 佐藤勝信(教士八段) 石井 猛(教士八段)
本部講師:太田忠徳(範士八段) 豊村東盛(範士八段)
【研修会風景】
■古田講師による剣道講話
■中田講師による日本剣道形指導(打太刀:中田講師、仕太刀:豊村講師)
■豊村講師による「木刀による剣道基本技稽古法」指導
■梯講師による実技指導
■講師・特別講師元立ちの指導稽古
■審査を想定した立合い
■集合写真
■受講生 感想文
群馬県厩剣会 塩谷 義明
※事務局 注(平成24年8月18日・七段合格)
第58回剣道指導者研修会を受講して
平成二四年十一月二三日(金)~二五日(日)まで、二泊三日で、第五八回
剣道指導者研修会に参加させていただきました。
外は結構寒い日でしたが、北は北海道から南は沖縄まで、やる気満々の剣士が五三名集いました。 年齢は三四才から七四才まで、多才な顔ぶれで、ハードな研修でしたが、途中故障者もなく、全員が最後までやりとげました。
講師は、山口県の古田 坦範士、東京都の梯 正治範士、おなじく東京都の中田 琇士範士、それに本部講師として、太田 忠徳範士、豊村 東盛範士といった最高の顔ぶれ。
初日は、開講式の後、すぐに審査の立会に入る。日頃の鍛錬の結果を発揮する場となった。私は、七段を取得したばかりで、初めて八段受審者の中に入っての立合いとなりました。さすがに、お相手は上手で、打った、打たれたという結果になり、講師の先生からは、普段の稽古を楽しんでいるようだと言われてしまった。まだそのレベルではないということか?
最後は、講師の先生方の元立による稽古。さすがに八段の先生方は自在で、夢中で打ち込んでいっても、いなされ、応じられ、打たれっぱなしの状況。
これで初日が終了。
二日目は、最初に古田範士による剣道講話。
八段審査を例にとり、審査時間のうち、最初の二十秒は打つための位取りにあて、相手がきついと思わせるような攻めが必要で、初太刀を必ず取ること。
最後の十秒は締めくくりにあて、無理な技をださず、相手が打ってくれば応じることが大事とのこと。私自身は、七段審査の際、時間配分などほとんど考えずに夢中でやっていたので、まだまだ未熟ということか?
次いで、中田範士による日本剣道形。丁重な説明の後、実践する。特に印象に残ったのが、技を打った後、打太刀が蹲踞の位置に戻り、仕太刀がそれに従うということ。今まで自分が剣道形を練習する時、そこまで考えていなかったことを反省。とても良い勉強になった。
午後は、最初に豊村範士による木刀による剣道基本技稽古法。
基本一から基本九まで説明の後、実践する。今まで私自身技を打った後、一歩さがるか、二歩さがるかというところが不明確であったが、今回の説明で良く理解できました。
続いて、梯範士による指導法。面打ちから始まり応じ技まで丁寧に説明して頂いた後、実践。改めて基本技の重要性を再認識しました。
この後、警視庁の若手八段の先生三名も加わり元立ち稽古。私は四人の先生に懸かることができた。
この日の最後は、懇親会。日本各地の銘酒もそろい、和やかな雰囲気の中で、大いに懇親を深めることができました。
最終日は、朝から早朝稽古。夕べの酒気が一気に抜けるような感じがしました。
朝食後、再度、審査の立合い。初日に指摘された点を意識しながら立合う。
初日よりは良かった感じがした。
次は、受講生同士の稽古となり、数人の方と剣を交えることができました。
この後、閉講式にて全て終了。明日からの六から八段審査を受審される先生方のご健闘を祈りながら帰路につく。
この講習は、一流の講師陣によるハイレベルな内容の講習で、近年受講者の中から、青森の工藤 一夫先生、新潟の佐藤 伸先生と山田 義雄先生、東京の岡村 敏博先生が八段に合格している。私は、何度も受講しているにもかかわらず、結果を出すことが出来ない自分にもどかしさを覚え、モヤモヤした気分を抱えていたが、八月の長野における審査で七段に合格したことにより、そのモヤモヤがすっかり晴れ、今回の講習には、さわやかな気分で臨むことができました。これは偏に太田先生や豊村先生をはじめ毎回変わる講師の先生方のおかげであり、また、毎回親身になってお世話いただいた事務局の先生方のおかげでもあります。今は、感謝してもしきれないくらいの気持でおります。本当にありがとうございました。
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