全日本剣道道場連盟
専務理事 豊村東盛
世界中が新型コロナウイルスに翻弄されて、約半年が過ぎました。自然災害も頻発し各分野が経済的、精神的に大きな打撃を受ける深刻な事態となっております。
そのような情勢を受け、剣道界も大会・審査会・講習会等の大きな事業が中止となりました。当連盟におきましても少年剣士最大の目標でありました夏の全国道場少年剣道大会をはじめ、9月に開催予定でした全国道場対抗剣道大会並びに全国道場少年剣道選手権大会も中止することと致しました。全日本剣道連盟では8月に六・七段の審査会が実施されましたが、11月の全日本選手権をはじめとする主な大会は軒並み延期となっております。
当連盟の事業は幼少年を対象としているものが多く、全国規模の大会の開催においてはとくに判断を慎重にせざるを得ません。例年3月に開催されております茨城県水戸東武館による伝統ある水戸大会も、昨年度に続き本年度大会を早々に中止することが決定されております。
当連盟と致しましては今後の行事について、現状に適した事業を進めるべきと考えており、新型コロナウイルス感染拡大状況を注視しながら慎重に検討し、判断していく所存でございます。
尚、全国道場少年剣道大会の予選を兼ねる予定でした各都道府県大会を6月までに実施出来ませんでしたので、開催できる状況である各支部に関しては来年2月初め頃までに都道府県大会として県内大会を実施頂き、助成をしたいと考えております。感染被害拡大を抑えることを第一と考え事態がある程度収まっていることが前提となります。稽古の再開、試合、大会開催の際には、各地区の行政並びに全日本剣道連盟のガイドラインを遵守の上、再始動頂きますことを、強くお願い申し上げます。
各事業中止による対応が度重なり、本年度は当連盟におきましてもかなりの財政難となることを予測しております。同時に各支部、並びに2200を超える各会員道場皆様の運営も相当に厳しいことと推察いたします。困難な状況でございますが、各会員に向けて何か、今年度の代替となる対応を一部でもできないかと検討をしている最中でございます。
また近年、剣道を学ぶ少年剣士の減少が切実に感じられる中での、新型コロナウイルスによる長期活動自粛となりました。稽古、活動ができない状況が続くことにより、更なる少年剣士の減少を深刻に懸念している現状です。
一昨年に実施致しました、当連盟会員道場の門下生数の把握を中心としたアンケート調査によりましても、各道場において最も深刻であると認識されている問題のトップは少年剣士の減少です。門下生増加を目的に様々な工夫がなされておりますが、成果に直結するような、確実に有効と言える対策、手段を見つけることは実質困難です。そのため、まずは減少対策以上に、剣道を始めた者が続けたくなる環境作り、辞めないための努力をすることが第一ではないかと思います。新型コロナウイルスにより活動が自粛されたことを機に、なぜ今の時代に剣道なのか、本来の目的や、保護者の方が剣道を子供に勧めたときの最初の思いを改めて考える時ではないかと感じます。その上で、活動復活の際には大会や試合などを改めて大切な目標とし、臨んで頂ければ幸いです。
前述のアンケートは、平成30年11月に当連盟の全会員道場に配布したものでございますが、目にされていない関係者の方もいらっしゃるかと思いますので、ここに改めて掲載致します。調査結果が今後の剣道再開及び少年剣道普及の一助になれば幸いです。
地域差や個人の判断の差もあり、なかなか足並みをそろえることが難しく活動もままならない時ではありますが、剣道界の縮小を妨げるべく、安全に考慮しつつできることからの再開を望む次第です。
2018年実施 全日本剣道道場連盟アンケート集計結果
2020.9.25